プロダクトデザイン事務所の業務内容・製品を生み出す際の思考
私たちの身のまわりには様々な情報やもので溢れています。
その中には生活で欠かせないものもあれば、
有名なもの、アノニマスでもそこに存在するだけで心を満たしてくれるようなもの。
"もの"は企業・個人を問わず生産者の手によって生み出されており、
ものが空間や人に与える影響までを含めてプロダクトデザインといえます。
プロダクトデザイン事務所のTAKUMA YAMAZAKI DESIGNが、
プロダクトデザイン・プロダクトデザイナーについて考えます。
~プロダクトデザイン事務所が担う役割~
プロダクトデザインの定義は幅広く、自動車や飛行機、電化製品などの特定の商品のデザインを指すこともあれば、
パッケージなどの製品の一部のデザイン、ものの周りに存在する空間までを指すこともあります。
プロダクトデザイン事務所ではこのような広範のデザインを行っており、
TAKUMA YAMAZAKI DESIGNでもそのご依頼・ご相談を承っています。
こちらでは、プロダクトデザイン事務所やプロダクトデザイナーが担う役割について触れたいと思います。
【プロダクトデザイン事務所】: プロダクトデザイナーは会社の“顔”をつくる
有名ブランドの製品は知っていても、
プロダクトデザイン、あるいはプロダクトデザイナーといった言葉に
馴染みがないという方も多いかもしれません。
プロダクトデザイン事務所の役割について触れたいと思います。
□ プロダクトデザインの重要性
ものは、自ら製品コンセプトや訴求点などを
ユーザーに対して直接語ることはできません。
そのため、
ユーザーが手に取る製品のサイズ感や形状、質感は、
作り手が世界観を常に喋らなくても伝わるように表現する必要があります。
プロダクトデザインは、
唯一ユーザーへ直接挨拶に行ける手段になり得るのです。
多くの生産者が、CGだけで綺麗に見せることが可能になった今、
製品本体のクオリティで差別化を図ることの重要性は
非常に高いといえるでしょう。
また、製造部品の扱いによって起こるコストへの影響や、
ユーザーに怪我をさせないための構造なども、
プロダクトデザインにおける重要な要素です。
□ プロダクトデザイナーとの契約
プロダクトデザイナーがデザインするものは、
アイデアスケッチやリサーチ資料、3Dデータなど多岐にわたります。
そのため、
納品物の内容や、使用範囲、著作権の譲渡などの話し合いは契約時に
しっかりとすり合わせる必要があります。
プロダクトデザイナーは長期にわたり製品管理を含めて、
クライアントと関わることが多い職種です。
そのため、会社間の基本契約を結び、
プロジェクト毎にお見積もり・請求書を更新するケースが多いです。
□ インダストリアルデザインの依頼
よく、プロダクトデザイナーとインダストリアルデザイナーは
何が違うのかと質問されることがあります。
例えば、花瓶やコップなどの雑貨をデザインする場合と、
メカ設計が必要なカメラなどの精密機器をデザインする場合では、
必要な知識や経験には大きな差分が生じます。
特に後者は、設計者や安全を担保するための部門の方々と
長期的かつ密な交渉や提案がなければ前には進みません。
インダストリアルデザイナーは主にそういった工業製品を
デザインするのに対して使われているケースが多いように思われます。
設計や工場との交渉は、品質やスケジュール等に
ダイレクトに影響する可能性が高いため、
もし、メカの含んだ製品をご依頼のをご検討されている場合は、
この部分を事前に確認すると、円滑に計画が進みやすいと思われます。
□ プロダクトデザイナーはチームの目標を可視化する
既存製品の外観をアップデートする仕事もあれば、
新しい技術を用いた全く新しいプロダクトをデザインすることもあります。
製品の生産には多様な部門の方が関わることが多く、
一人ひとりのイメージしているゴールが異なるケースがあります。
同じ製品開発を進めるチームが、バラバラのゴールを描いているのは、
プロジェクト全体として一貫性を失う可能性があるため、望ましくありません。
プロダクトデザイナーは、コンセプトをまとめ製品に集約させることで、
「私たちは今この製品を作るんだ」と意識を高め、
自分たちのプロジェクトが進む方向やゴールの認識を合わせることができ、
プロジェクトメンバーの足並みを揃える役割もあります。
【プロダクトデザイン事務所】:プロダクトデザイナーが抱えている価値について
プロダクトデザイナーがプロジェクトに関わる際に、
提案するのは形状だけの価値ではありません。
目にはみえにくい部分ですが、
経験を積んだデザイナーが抱えている価値は大きいと考えることができます。
例えば、
人間の指紋が"指がかり"として機能し始める段差の高さは何ミリからでしょうか。
知っていることで、内部構造に影響する範囲を最小限に抑え、
本体サイズを小さくすることができます。
製品に塗装をする際、
爪傷試験や耐候試験を通過する塗料の種類はどのようなものがあるでしょうか。
これらの検証をゼロから始めるのは、多くの時間とコストを要します。
塗料においては、何千時間も観察を続けるという試験内容もあり、
その費用は高額になります。
提供するアイデアには、そういったことまで考慮された、
生産する上で価値となる、さまざまな知識が凝縮されているのです。
□ 量産対応の瞬発力
量産におけるデザインは特に、一筋縄ではいかないことが多いです。
インダストリアルデザインの歴史からもわかるように、
量産はシステムのデザインでもあります。
製品の商品開発工程が後半に差し掛かると、
工場や事業の見解などにより、
形状の修正を検討しなければならないタイミングも出てきます。
その際は、さまざまな情報や知見から、
どの案がベストなのか、瞬時にデザインを判断し、
修正に取り掛からなければなりません。
製造側にリソースを割けるように、瞬発力が必要です。
□ 人間工学とモデリングスキル
プロダクトデザイナーが手掛けるものは、人間が使用するものが多いです。
人間の手の寸法や、性別による条件など、
あらゆるシーンを想定して造形する必要があります。
使い心地がよく、細部まで神経の通ったプロダクトをつくるには、
有機的な曲面を用いることもあり、
プロダクトデザイナーにはモデリングスキルが欠かせません。
私の場合は、理想的な美しい曲面をつくるためだけに
毎月10万円ほどのCADソフトを購入し、
表現したい面によって使い分けているくらいです。
高いモデリングスキルがありながらシンプルにまとめるのか、
形をつくれないからシンプルな形状にするのかでは、
展開と集中の過程の厚みが異なり、
結果的にユーザーに製品コンセプトを訴求する際も、
ものが放つ雰囲気の説得力が変わってくるのです。
□ 加工に関わる感度の高さ
プロダクトデザイナーは、生産性も考慮しなくてはならないため、
寸法や加工に関わる感度の高さも必要です。
CADを眺めているだけで、
大体のこれから起こる問題・課題が想像できます。
それをいち早く設計者や工場に伝え、確認をしてもらうのです。
そうすることで、
実際に稼働する前から、外観不良の原因を潰していくことができ、
プロジェクトの修正にかける一人あたりの時間を短縮することが可能です。
このように、プロダクトデザイナーがプロジェクトに関わることで、
得られる提案の中には、
可視化できる部分の背景に、大きな価値を受け取ることができます。
~プロダクトデザイン事務所へ相談できること~
プロダクトデザインを重視した製品を作る場合、プロダクトデザイン事務所へ相談・依頼をするのが効率的であるといえます。
実績のあるプロダクトデザイン事務所や有名デザイナーにも個性があり、
相談・依頼をする際にはプロダクトデザイン事務所が行っていることとプロジェクトの内容がマッチするか
実績などについて確認するのが望ましいです。
続いては、プロダクトデザイン事務所においてご依頼いただける内容と、製品を生み出すのに大事な考え方について解説します。
【プロダクトデザイン事務所】: T.Y.D LLC ご依頼いただける内容
プロダクトデザイン事務所は多数存在し、
そこで行われている業務の内容や進め方は全く異なります。
そのため、プロダクトデザイン事務所へ製品制作の相談・依頼をする際には、
その事務所の特色や作品実績を把握することが望ましいです。
TAKUMA YAMAZAKI DESIGN合同会社では、
基本的に以下の業務を中心に行なっています。
□ アイデアスケッチ
アイデアスケッチと聞くと、複数のアイデアを説明されると思われますが、
弊社では最終案の1案に絞り提示しています。
製品には、大きなアイデアから詳細のアイデアまであり、
意匠性・機能性・生産性の観点から
細部の微差の積み重ねることこそ、デザインの品質になると考えています。
そのためには、
プロジェクトの前提条件や、事業が向かいたい方向性を明確にしながら、
それを実現する目的のデザインを育てていかなくてはなりません。
そのため、「ざっくりとした複数展開した事例が確認したい」という際は、
複数展開することを目的とした業務になるため、
お見積もりの際にすり合わせが必要になります。
□ モデリング
3D CADを用いた造形を行います。
データ形式はstp.やパラソリッドデータ形式で納品が可能です。
弊社では、
一眼レフ機・レンズ・コンパクトデジタルカメラなど、
複雑な形状も設計要件を満たしながら造形できるモデリングスキルがあります。
複数のCADを組み合わせ、高次元のモデリングを実現します。
□ CMFデザイン・塗料の調色対応
「CMF」とは、「COLOR(色)、 MATERIAL(素材) 、FINISHING(加工)」
のそれぞれの頭文字から略した言葉です。
本体の表面処理には、樹脂のシボ番手から、塗装表現まで豊富にあります。
梨地の凹凸形状の性質により、傷がつきにくかったり、ツヤのコントロールも
デザインの要素になります。
一つの塗料を新規開発するにも、塗料メーカーと何度も交渉を重ね、
理想の質感や色味を調色していきます。
それらについても、弊社には多くの知見が蓄積しています。
□ CGレンダリング
CGとはComputer Graphics(コンピュータ・グラフィックス)の略称で、
映像表現の一種です。
モデリングしたデータに、光源や質感を設定し、
ある程度の外観確認をします。
( ただ、実機とCGの性質が全く異なります。
昨今、ECサイトなどでは、それらが混在するようになりました。
それらの境界を明確化する目的で
Virtual Product Design®︎という領域の活動も2021年より行なってきました。)
□ 外観指示図作成
外装を工場が作るためのレシピになります。
線図に加え、材質・表面処理や公差・注意事項などが記載されています。
工場側はこの内容を勝手に変更はできませんが、
反対に、ここに書いてある以上のことを求めることも基本的にはできません。
とても重要な書類になります。
□ アートワーク指示図作成
製品に印刷などの表記が入る際に、
寸法の条件を記した書類になります。
このデータをもとに、印刷できるように調整を行います。
□ 設計対応
メカを含むデバイスのなどは、
プロダクトデザイナーがいくら素敵な外観をデザインをしても
設計者なしでは、ただの箱になります。
設計者の作る内臓と、デザイナーが作る皮膚が合わさって初めて動くのです。
「設計上、マイク穴の形状はここに配置したいです」
「本体の天面を1ミリ削ることはできますか」など、
内部と外部の双方から要件を出し合い進めるのが設計対応になります。
□ 量産対応
デザインを確定した後も、量産試作や量産を進める中で、
問題・課題が見つかることも多々あります。
その際に、瞬時にデザインデータを修正したり、変更案を提示したり、
塗料の色味についてコメントしたり、改善方法について議論したりします。
それらの量産過程で外観コントロールをすることを量産対応といいます。
スケジュール的にも経験がないと即座に対応が難しい業務になり、
製品の出荷に最も近い業務のため、品質に影響しやすい内容になります。
上記がプロダクトデザイン開発におけるざっくりとした業務内容になり、
プロジェクト全体を通して、長期で関わることが多くなります。
その他にも、パッケージデザインも可能ですのでお気軽にご相談ください。
【プロダクトデザイン事務所】:製品を生み出す心構え
私は、プロダクトデザインでいくつかのことを重視しています。
( 他者のデザイン思想とは完全に無関係なものなので、
そのつもりでさらっと眺めてください)
・まず自分が幸せになること
これはデザインと無関係と思うかもしれませんが、
私にとっては、デザインと一番深く関わっている点だと感じています。
モノをつくるということは、
自分の中にあるものをアウトプットするということです。
おそらく微差ではありますが、
自分の状態は、必ずデザインにあらわれると考えています。
もし、人にポジティブな波を届けたいのであれば、
まず自分が幸せについて感じる必要があると考えています。
・数年後のことを考えながらデザインをする
モノを作るには責任が伴うと考えています。
一時期有名になっても数年後に外観を眺めて陳腐化してしまうのは、
そのものに思想が内在して感じていないのかもしれません。
時代が過ぎても、陳腐化してみえないデザインは
その会社・個人の独自の思想や、
デザイナーの思想がしっかりと反映されていて
物自体が放つ質の高さが光り続けると感じます。
・心地よい音が鳴りそうなデザインをする
音を考えながらデザインすることが多いです。
優しい音や、硬い音、強く響くようなハリのある音。
伝えたいイメージを頭の中に描きながら造形します。
いいなと思うプロダクトは、いい音がしそうな気がするのです。
デザインや業務を進める中で、
真っ直ぐにゴールすることは100%ありません。
必ず、課題や問題点が出てくるのです。
その際にも、チームとして楽しく乗り越えることを望みます。
プロダクトを通して、ユーザーにポジティブな情報を届けたいからです。
そのような思想の方と、お仕事をご一緒できたらと存じます。
~ プロダクトデザインアトリエ ~ TAKUMA YAMAZAKI DESIGNのご相談・作品制作実績
プロダクトデザインを決定する際には、生産性を考慮したモノの魅力を最大限に引き出すための知恵が必要になります。
初期投資を少なく抑えるのが望ましいということを理解した上で、
フェーズごとに確認や精査を行い、製品のクオリティを着実にあげていきます。
多くの作品実績を持つTAKUMA YAMAZAKI DESIGNでは、
1点物の作品から、量産対応も得意としたプロダクトデザインを行っております。
有名企業の製品デザイン・国内外有名アワードを受賞した作品制作実績も。
作品・製品の内容ごとに柔軟にご対応できますので、ぜひ一度ご相談ください。
プロダクトデザインに関するコラム
プロダクトデザイン事務所に製品のご相談をするならTAKUMA YAMAZAKI DESIGNへ
[ 会社名 ] TAKUMA YAMAZAKI DESIGN 合同会社
[ 運営統括責任者 ] 山崎 卓馬
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