インダストリアルデザイン依頼の前と後
インダストリアルデザインは、主に量産システムを使う工業製品に関わるデザインに関して使われることが多いです。
金型や材質などの製造内容を想定した形状や処理などを見極めながらデザイン開発を行います。
日常の中で頻繁に活用する家電品、自動車や携帯電話などの工業製品は全て、
緻密に計算された設計や生産フローが確立されています。
工業製品を作る上で、インダストリアルデザインにおける知見は重要なポイントとなります。
今回は、インダストリアルデザインを設定する前後で必要な商品開発の工程と、
前後に対応できるアクションを詳しく解説します。
~【デザイン依頼】インダストリアルデザインの商品開発~
デザインを依頼するにあたっては開発する製品の機能や形状、使用方法など、
事前にデザインの方向性を探るための情報を揃える必要があります。
インダストリアルデザインを設計するための情報整理は、商品開発のステップと比例しています。こちらでは、インダストリアルデザインの商品開発に必要なアクションやテーブルを確認しておきましょう。
【インダストリアルデザインの依頼】:事実を蓄積するアプローチ
市場に出回る製品は絶えず開発され、
日々、膨大な数の新商品が巡っています。
製品や時代に合わせた新素材の開発などには、
多くの知恵とエネルギーが使われており、
経済と交渉における社会の重要な活動のひとつです。
デザイン開発業務のアプローチは、
プロジェクト毎に変えるようにしていますが
情緒的感覚の下で支える事実を収集するのは大切です。
例えば、以下のようなケースがあります。
□ 市場の分析
市場分析は、市場における事実をテーブルに乗せ整理する作業です。
このテーブルから動向を辿り、アイデア展開の際のヒントにすることもあります。
この工程では、新技術の誕生や社会的な背景、
それらによって人々の内面に生じたマインドやスタンスの変化を行動から洗い出します。
市場の潜在的ニーズから新たな製品を発想するヒントを得ることができます。
アイデア展開は形状が固まるまで、常に出るタイミングで発散していくことが重要になります。
□ フォーカスの選定・コンセプト立案
どこの市場・顧客層が新商品のターゲットとなるかを選定します。
キーワードを目印にして、さらにアイデア展開を進め、深いところまで考えを巡らせます。
この段階で、ある程度価格帯も意識をします。
上流から、自分たちは何をユーザーに届け、どうしたいのか。
商品コンセプトは上流からしっかりと立てることは、
開発における判断の重要な指標になります。
商品が顧客に与える価値や特長を伝えるためのポイントを明確化し、
競合商品との差別化ポイントも明確にします。
□ 試作・商品像の具体化
ターゲットが選定された次のステップは、新商品の具体化です。
市場に合わせて、商品の機能や形状などを作りこんでいきます。
(設計者や工場がいる場合は、デザイナーとのキャッチボール(外観交渉)が頻繁に起こります。)
この段階で、具体的な商品の大きさや素材、搭載する機能などの仕様を決定します。
商品同等の外観モックアップを作成し、生産時の判断に使用したり、
顧客ニーズをより詳細に把握するための
テストマーケティング・マーケティングリサーチにも使用することができます。
□ 量産対応
設計要件をデザインに反映する作業や、製造場所で起こる外観問題への対応を短期間で行います。
このテーブルで起こる問題は想定外のケースが多く、
インダストリアルデザインの経験値と瞬発力が試されます。
メカのあるデザインの肝はここにあるといっても過言ではありません。
◇インダストリアルデザインにおける責任の重要性
商品開発において、中にはデザイナーが外観やパッケージのアイデアのみを設計者に渡し、
設計者がデザインを行うことがあるかもしれません。
もし、外観やパッケージの評価が望ましくないものになった場合、
デザイン判断の責任は誰が持つのでしょうか。
例えば、野暮ったい印象になる原因は、形状なのか、塗料なのか、重さなのか。
物が放つ空気感なのか。
量産時における外観不良の瞬時の指摘はどこをどのように指示するのでしょうか。
中身が動かないのは、メカの責任。
外観の問題はデザインの責任くらいの明確さがなければ、
専門性を活かしきれず、会社の製品の精度は上がりません。
製品の特長やメリットなどを顧客に精度高く伝達する際には、
個々の能力を最大限に発揮できる体制があって実現できるのです。
【インダストリアルデザインの依頼】商品開発とコストマネジメント
商品コンセプト等の設定のほかに、
インダストリアルデザインは、コスト管理の面で、
具体的に商品を市場に導入するための戦略や、
ビジネスプランに大きな影響を与えます。
具体的には、以下のコストマネジメントが顕著です。
-
試作
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塗装
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金型
□ 試作
商品開発には初期投資を回収し、
さらに利益を創出するための収益計画などが必要となりますが、
外観品位を高めながら、コスト管理をすることも大切です。
試作の最終段階として、商品同等の外観や重量感などを確認するためのモックアップがあります。
1点物のため、単価が比較的高価になりますが、
実際のサイズ感や質感、持ってみた感覚など、
CGやMRでは味わえない実物の所有感を確かめることができます。
商品を販売する具体的なターゲット市場の選定、
パッケージや商品説明書の作成なども含めた製品仕様の決定に役立ち、
市場に受け入れられるかどうかの判断がより具体的にしやすくなります。
十分な利益が想定できる製品価格の決定にも影響します。
また、撮影などのプロモーションにも活用でき、
導入先の交渉などにも活用できるため、
広告や調査などの業務を生産初期の段階に行うことができます。
結果的に、時間的な見えない失敗コストを回避することに役立ちます。
□ 塗装
製品の色や質感など、外観の表情を豊かにする方法の一つに塗装があります。
調色や物性試験を通して開発された塗料ですが、下地が透けたり、ムラになりやすいものもあります。
その際は、塗装の段階で2回に分けて厚塗りするなどの対処が発生しますが、
塗装単価が高額になるケースがあります。インダストリアルデザイナーは、
その塗料がもつ性質を理解した上で、樹脂色や表面処理を支持しなくてはなりません。
また、塗装を廃止する際は、どのような条件が揃えば無塗装でも品位を保てるか、
知っていなくてはなりません。投資額に見合った外観を手に入れるには、
細かな確認と指示が必要になります。この部分を管理することで、
同じ投資額を支払っても、納品されるものの品質が全く違うものになるのです。
□ 金型
金型は、樹脂等の成型に必要な金属の器のようなものです。
高い剛性のある器に熱して溶かした樹脂を流し込み、冷やすことによって製品パーツを成型します。
複雑な構造を含んだ金型は、仮型と呼ばれるものを作成し、
テストショットをしながら問題点を修正し、
確認を終えたら本型と呼ばれる本番用の金型を作成します。
金型は高額で、一度加工を行うと修正が難しく、抜き方向が決まっているため、
形状に制約も発生します。指示ミスによる金型の廃棄は、
事業の行方に大きく影響します。
ここの失敗コストを下げることは非常に重要になります。
インダストリアルデザインは、
金型の加工にどのような性質があるのか理解した上で進めていく必要があります。
市場分析から、商品コンセプトの設計、
コストマネジメントの設計を行います。
市場投入に耐えられる商品であると会社側が判断すれば、
ようやく販売開始のステップに到達するのです。
~インダストリアルデザイン依頼後、どのように広めていくかを考える~
インダストリアルデザインを依頼し、新商品をつくる中で、どのようにユーザーに対して浸透させていくかも重要な要素になります。
弊社では、会社の製品の魅力を伝えるためのデザインカットの撮影およびウェブ監修も対応可能です。
【インダストリアルデザイン・依頼】:デザインカットの撮影
プロモーションは製品販売につながる活動であり、
ユーザーに魅力を精度高く伝えるために必要となります。
カメラメーカーに6年間勤務していた経験から弊社では、
製品のデザインカットの撮影も行っています。
(デザインカットとは、仕様をわかりやすく伝える目的の説明的な写真とは異なり、製品の魅力やこだわりのポイント、
雰囲気をプロダクトデザイナーの視点で表現した写真になります。)
監修した写真を使用した作品は、
トヨタが主催するレクサスデザインアワード、
コクヨが主催するコクヨデザインアワード、
グッドデザインアワード、
ドイツのiFデザインアワード、
イタリアのA’デザインアワードなどの、
情緒的評価において、厳しいアワードにおいて、
国内外問わず賞を獲得している実績があります。
撮影前には、絵コンテなどを通して内容のすり合わせを行います。お気軽にご相談ください。
【インダストリアルデザイン・依頼】:ウェブデザインの監修
弊社ではウェブの監修も商品販売を促進する一連の業務として行っています。
会社によって、思想は様々です。
その思想をよりわかりやすいものにし、
ユーザーに伝えたい空気感を一緒に考えながら作っていきます。
ウェブページを整えることは、新しいお客様を迎えたり、
商品認知を拡大したりする効果が期待できます。
具体的な流れとしては、
会社や商品のヒアリング
→アイデア展開・提案
→ウェブ管理者との交渉
→設置となります。
~ インダストリアルデザインのご相談・作品制作実績 ~
インダストリアルデザインは商品の機能や特長を的確に伝え、商品イメージを確定する重要な要素です。
また、商品の開発・販売を目的としたマーケティング戦略においても、
プロダクトデザイン・パッケージデザインとともに重要な要素の一つになります。
デザインによって、ユーザーへ訴求ポイントがわかりやすい商品開発を進めていきたい際は、
TAKUMA YAMAZAKI DESIGNまでぜひご相談ください。プロダクトデザインや製品パッケージのご相談も承ります。
プロダクトデザインに関するコラム
商品開発のご依頼について・設計対応・量産対応も行うインダストリアルデザイン事務所 TAKUMA YAMAZAKI DESIGN
[ 会社名 ] TAKUMA YAMAZAKI DESIGN 合同会社
[ 運営統括責任者 ] 山崎 卓馬
[ 住所 ] 〒245-0062 神奈川県横浜市戸塚区汲沢町305−12
[ TEL ] 080-3572-0284
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